ただただ君が好きでした
私は怜次先輩の横顔を見つめた。
綺麗な横顔だった。
「何があったんですか」
「俺にも詳しくは言わんねんけど、ハナちゃんのこととは別の理由やって言うねん。俺が思うに、前に停学になった事件のことやと思う」
担任から聞いた窃盗と傷害の話。
怖くて聞きたくないけど、マナ先輩のすべてが知りたい。
「どこまで聞いてる?」
「学校の先生から窃盗と傷害と聞きました」
「マナトが物盗むと思う?」
私はブンブンと首を横に振った。
「これは言うたらマナトに怒られると思うねんけど」
と前置きをしてから話し始めてくれた怜次先輩。
マナ先輩は派手で目立っていたので、先輩から目をつけられていた。
女子の先輩からも人気があったから、それにねたんでいたんだろうって怜次先輩は言ってた。
マナ先輩を気に入らなかった先輩のグループがいて、そのグループのひとりに、マナ先輩のお父さんの不倫の場面を目撃されてしまったんだって。
それを写真に撮った先輩が、マナ先輩を脅すようになった。
その時は、離婚してほしくない、母親に知られたくない一心で、マナ先輩はその写真を誰にも見せないように頼んだ。
殴られたりもしたし、金を要求されたこともあったと。