ただただ君が好きでした

「俺も一緒に土下座させられたことあってん。マナトは俺に迷惑かけられへんって俺を遠ざけたりもした。アイツはそういうヤツやねん。だから今回もハナちゃんと距離を置いてるんやと思う」

マナ先輩をそこまで追い詰めて……

何か方法はなかったのかな。


「俺もマナトも、まだガキやったし、逃げ道もわからんかった。今なら、警察行けばよかったとか思うけど、当時はやり返されるの怖かったし、何よりマナトの家族守りたかった」

エスカレートして、物を盗めと言われ、それを断ると殴られたんだって。

そんなひどいことをされたなんて。

マナ先輩の寂し気な瞳を思い出す。

そんなツライ過去を背負ってたんだね。


「その時、唯一相談できたのが、中学の時の先生やってん。でも、その先生も……女やってんけど、マナトのこと好きとか言い出して、それもアイツはショックやった。信頼してた先生やったのに。それで誰にも相談できんようになって…… 家にまでくるようになったから、押し返したら大げさにこけて、仕返しに殴られて、マナトももう我慢できんと殴り返して、警察呼ばれてん」


いろいろ衝撃がありすぎて、頭が混乱していた。

もう、どうしてそんな悲しいことばかりマナ先輩に起こるんだろう。

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