ただただ君が好きでした

怜次から前の日の夜に聞かされた。

迫田は、気に入った女の子をわざといじめられるように仕向けて居場所を失くして自分がそこに入り込む、って。

まさかそこまで腐ってるとは思わなかった。

オハナがいじめられていることを知っているどころか、わざとそういう方向にもっていってるなんて。


でも、思い当たるフシがありすぎて。

やっぱりそうなんだと、確信をもって、登校した。


迫田に一言言いたかったので、廊下を歩くアイツを見つけたから授業を抜け出した。



俺は言った。


「わざとやってんなら、もうやめてあげてくれないですかね」

それで、迫田もすべてを理解した顔をした。

「神野、お前が言える立場なのか」

「先生は、いじめられてるの知ってるんですよね」

「そんなこと俺は知らない。何の話かわからないな。それより、授業に戻れ」



俺の肩をグイっと押した。

迫田の冷めた表情が忘れられない。



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