ただただ君が好きでした

「神野は、ハナの彼氏なのか。ハナに忠告しといてあげなきゃな。神野は、物は盗むし暴力は振るうし、将来浮気をする最低男だぞって。お父さんのDNAはお前にも引き継がれてるからな、はは」


親父のことを持ち出された。

何も知らないくせに。

俺は、迫田に掴みかかっていた。


「ハナのことは心配するな。俺が守ってやるから」

ニヤリと笑った迫田が、憎らしすぎて、俺は自分が止められなかった。

おおげさに飛んでいった迫田を見て、以前の先輩との乱闘を思い出した。

すぐに、すいませんと謝ったが、迫田は俺の胸倉をつかみ、校長室へと連れていった。



何も言わせてもらえなかった。



俺ができることは、オハナと会わないことしかなかった。


迫田にひいきされていじめられているオハナが、俺と関係があると知られればまたいじめの原因になってしまう。

迫田と俺がもめたことで、オハナに疑惑が向けられるかもしれない。




ごめんね、オハナ。

きっと心配してる。

絶対心配してる。


自分のせいだ、と自分を責めているかもしれない。

オハナのせいじゃないよ、と言ってもオハナは信じてくれないだろう。


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