ただただ君が好きでした
そして、私は今日も真っ暗な部屋に帰る。
おかえりのない我が家は、今日の私にはキツい。
私が高校生になったのをきっかけに、お父さんとのふたり生活が始まった。
それまでは、私はおばあちゃんと一緒に暮らしていた。
お父さんは好きだけど、帰ってくるのは10時過ぎだし、頑張って晩御飯を作っても食べない日が多い。
何でも深読みしてしまう私には、想像がつく。
お父さんには、特別な女性がいる。
お母さんが死んじゃった後のお父さんの苦しみを見ていたから、誰か好きな人がいるのならそれは祝福してあげたいと思う。
そうは思うけど、裏腹な気持ちもあって。
でも、それなら私はおばあちゃんと暮らしていれば良かったのにね。
私はスマホの電源を切り、ひとりで晩御飯を食べた。
7時から9時までの2時間、LINEのグループトークが盛り上がる。
テニ部青春1年って名前のグループで、今頃盛り上がってるんだろう。
あ、それか・・・・・・
私はもうグループから抜かれているかもしれない。
目を閉じて、思い出そうとするのにマナ先輩の顔がはっきりと思い出せなかった。
あんなにも目に焼きつけたはずなのに。
思い出すのは、テニス部のみんなの冷たい視線だけだった。