ただただ君が好きでした
「神野先輩、バスケしてるじゃん」
「だから、今日女子いっぱい集まってるねぇ」
「私は山城先輩だもん」
「はいはい!!」
こんな会話をしながら、私はマナ先輩を見つめていた。
この気持ちが何なのか、本当によくわからないけど、そこにいるだけで良かった。
楽しそうにバスケをして、笑っているマナ先輩を見られただけで、私の心は満たされて幸せな気持ちになれた。
マナ先輩、幸せですか?
留年したことで居心地の悪さを感じていると言っていたマナ先輩だけど、私が見ている限り、マナ先輩はみんなの中心でキラキラ輝いてますよ。
「ハナちゃん、何泣いてんの?」
「え?」
気付くと、私の目には涙がにじんでいた。
「え、あ、ちょっとあくびしたから」
「え~?本当?実は、山城先輩のこと好きになったんじゃないの?」
「それはないない!!安心して」
「じゃあ、神野先輩でしょ?」
「ち、違う違う!!」
「怪しいっ!」
3人にからかわれながら、楽しい昼休みが過ぎていく。
「神野先輩って、バスケ部じゃないよね?でも、すごくない?」
「確かに!山城先輩のボール奪ったよね」
体育館の窓から入ってくる風を、マナ先輩は気持ち良さそうに浴びる。
マナ先輩、オハナはここにいるよ。
少しだけ元気になったよ。