ただただ君が好きでした

アイツ、むかつく。
全部アイツが悪い。

誰も、ひいきしてくれなんて頼んでない。
どうして、私にばかり優しい言葉をかけるんだろう。


いじめの原因は、女子テニス部顧問の迫田【サコタ】のせいだと分析している。

今までの人生で人間関係で大きな問題はなかった。
友達ともうまくやれる方だった。

迫田は、うちの高校唯一の独身男教師で、私は興味ないけど女子には人気のある先生。

薄めのイケメン、塩顔って女子からは言われてる。

アイツのせいだ。


『ハナ~!今のナイスだよ』

迫田のニヤニヤした顔と、甘い声がよみがえり、私は首を横に振ってその面影を消す。

テニス部の3年の先輩に目を付けられたきっかけは、疑いの余地のないくらいに迫田だった。

入部当時かわいがってくれていた先輩も、迫田が私を気に入ってることを知り、冷たくなっていった。

その変化は驚くほどに速かった。
その日のうちに私への態度は変わり、笑顔を向けられることがなくなった。

きっと今だけだと頑張って耐えていたこの2週間。

最初は先輩の嫌がらせから守ってくれていたはずの1年の仲間達までもが、私に嫌味を言うようになってきた。

それは、1年の部員の中で目立ってかわいくて人気者の香音【カノン】が、迫田に恋をしたからだ。



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