ただただ君が好きでした
「マナ先輩っ!!」
「シー!!」
2階の廊下の窓から顔を出したマナ先輩は、人差し指を口の前で立てた。
「部活終わったら、来い!」
ギリギリ聞こえる声でそう言ったマナ先輩は、体育館の方向を指差した。
「頑張れ!」
そう言って、握りこぶしを作って私に向けた。
「はい!!」
私も握りこぶしを返すと、マナ先輩は笑った。
あと1時間半、頑張れるパワーをもらった。
立ち止まっていたおかげで、みんなとの距離はもっと離れていた。
なんだろう。
このパワー。
涙が溢れてくるんだけど、それは悲しい涙じゃなかった。
私はひとりじゃない。
このつらい状況の中で、私を気にかけてくれる人がいることが嬉しくて、神様ありがとうって思った。
負けない。
絶対に負けない。