ただただ君が好きでした
「日野さんが、話しかけてくれて嬉しかった」
「もう息上がってんじゃん。体力ないとテニスはキツイよ」
「ほんと、だね。はぁ、はぁ。日野さんは、テニスが好きなんだね」
「あんた、好きじゃないの?あんな嫌がらせされてもやめないんだから、相当好きなんだと思ったけど」
淡々と話す日野さんの横顔を見ると、私にはない凛とした強さを感じた。
「私、負けたくなくて。テニス、好きかどうかは、まだわかんない、けど」
「じゃあ、その根性でアイツらに勝ちなよ。負けんなよ、絶対」
色が白くて美人なのに、男っぽくてかっこいい。
少し茶色いくせのある髪質のショートカット。
テニス部1年の中では、異質な雰囲気を放っている。
「別に、やめてくれてもいいんだけど、ここまで頑張ったんだからさ」
「うん!!ありがと!!絶対、負けない。テニス部続けたいもん」
ぶっきらぼうな日野さんの精一杯の優しさのように感じた。