ただただ君が好きでした

「迫田は、去年英語の担当で、アイツのせいで留年したって言ってもいいくらいなんだよ。アイツが単位くれてたら、留年せずに済んだ」

「え!そうなの?」

「まぁ、俺が悪いんだけどさ。数学の先生なんかは、補習しまくってくれて単位くれたんだよ」

私の知らない過去のマナ先輩の話を聞くと、胸の奥の方がザワザワと音を立てるようだった。

この気持ちが何なのか、よくわからない。

「迫田は、カスだよ。生徒の中で彼女にするなら誰がいいかって、他の先生と話してるのを聞いたことがある。そういう教師なんだよ」

「ゲェ、気持ち悪い!」

「そんなヤツに気に入られちゃったんだから、そりゃオハナも大変だ。妙にベタベタしてくるだろ?アイツ。そのうちクビになるだろうって男子は思ってるけどそれがなかなかならねぇんだよ」


マナ先輩は、内緒だよ、と前置きしてから教えてくれた。

迫田は、何年か前に女子生徒とデートしている写真を撮られて、自宅謹慎になったことがあるって。
私がもし迫田に好意を持っているとしたら、そんなことって簡単なんだろうなって思う。
先生、デートしてって言えば、即OKだよね。


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