ただただ君が好きでした
「俺が一発殴ってやりてぇな。オハナに近付くなって」
「本当だよ!ハナ~ハナ~って名前で呼んでくるのもキモい」
「マジ?それは、ちゃんと話した方がいい。オハナは何も悪くないのに、迫田のせいで誤解されて、いじめられてるんだぞ?」
私は、もう一度ちゃんと迫田に話そうと決意した。
「オハナ、ちょっとこっち向いて」
「え?」
いきなり前髪を掴まれて、心臓が飛び出るかと思うくらいにドキドキした。
男性に免疫のない私にとって、今のはキスされたくらいの衝撃なんですけど!
「う~ん。大人っぽい顔してるからかな」
「へ?」
「ん?迫田にどうして気に入られてんのかなって」
「ですよね」
っていうか!
前髪、離してください。
もう倒れちゃいます!
「この前髪さ、切ってみない?」
マナ先輩は、顔を近づけて、私の前髪を持ったまま上に上げたり下げたりした。
「前髪パッツンにしてみたらどうだろう。幼くなるかもしれない」
「パッツンですか!したことないです」
「似合うじゃん。流行ってるし、女子うけは良いと思うよ」
前髪パッツン女子は、元気なイメージで人気者って雰囲気がする。
「マナ先輩がそう言うなら」
耐え切れなくて、顔を下に向ける。
すると、あごをグイっと持ち上げられる。
「俺は、好きだよ。パッツンオハナ」