ただただ君が好きでした
息を切らして到着した秘密の場所には、まだマナ先輩の姿はなかった。
はぁ・・・・・・まだか。
マナ先輩の定位置に腰掛けて、空を見上げた。
青い、蒼い空。
お尻に当たる石の感触と、聞こえるバスケットボールの音。
何気なく石をひとつ拾い、手に持つ。
あれ?
座った場所に小さな紙切れが落ちていた。
その髪には、【西館の美術室に変更!】と書かれていた。
マナ先輩?
絶対そうだ!
私は、また走った。
こんな気持ちに走れば、最高タイムが出るんだろうな、と考えながら走った。
たくさんの生徒が廊下でしゃべったり、座ったりしている中を疾走して、西館へ向かう。
西館は、中庭を挟んだ向こう側で、美術室と技術室以外は部室や空き部屋になっている。