ただただ君が好きでした
ジャリ ジャリという音が心地良い。
静かで誰もいないその場所は、私の気持ちを安心させてくれた。
「はぁ」
とため息をつくと、視線の先に緑のスニーカーが見えた。
誰か、いる?
一歩、二歩と進み、しゃがみ込む男の人が目に入る。
音楽を聴きながら寝ているみたい。
片足だけ伸ばして、もう片方の足は立てて、そこに顔を乗せていた。
茶色い髪はクセっ毛で、うちで子供の頃に飼っていた犬を思い出した。
制服のズボンに、白のトレーナーを着ていた。
きっと、3年生の不良だ。
気付かれる前に逃げよう、と思った途端、その人が顔を上げた。
目が合って、数秒動けなかった。
なんというか…夕日のせいかもしれないけど、とてもキラキラした輝いた瞳をしていたから。
それと、今にも泣き出してしまうんじゃないかっていう表情にも見えた。