ただただ君が好きでした
「やっべ!もう昼休み終わる。オハナ、先に出て走って戻れ」
時計を見上げたマナ先輩は、私の腕をつかむ。
ドキっとした私にも気づかない様子のマナ先輩は、私の背中を押した。
「ほら、走れば間に合うよ」
「マナ先輩は?」
「バカ!一緒にいたらやばいだろ。俺は後からダッシュで戻るから」
優しさと寂しさでできている人。
ぎゅって抱きしめて温めてあげたいけど、そんなことしたら私とマナ先輩は終わってしまうってこと、わかってるんだ。
私は、ときめく気持ちを押し殺すように、精一杯廊下を走った。
マナ先輩が切ってくれたこの前髪で、新たな一歩を踏み出すよ。