ただただ君が好きでした

ねぇ、先輩。
お父さんは私の前髪に気付かないまま仕事に出かけたよ。

昨日は帰ってくるのも遅かったし、私の顔も見ずに慌てて会社に行ったよ。

愛されていない、なんてそんなことは思わない。

同情されるほど、ひどい家庭環境でもない。

だから、殴らないでね、お父さんのこと。

マナ先輩は、優しいから殴ったあとに心が痛くなるよ。


別にいいんだ。

思ってた通りだし、傷つかないようにちゃんと心構えもしてたから。

マナ先輩がいてくれるだけで強くなれる。


お母さんのような温かさもあって、それなのにドキドキさせる人。


でも、もうマナ先輩のいない毎日は考えられないんだよ。



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