ただただ君が好きでした
前髪を切った私を、マナ先輩は似合うと言ってくれた。
私の笑顔は元気をくれるんだと言ってくれた。
でも、あれから一度も話してない。
もっと早く前髪が伸びればいいのに。
そしたら、また切ってくれますか?
私は、ドーナツ屋さんで見たふたりの姿が目の奥に焼きついて、今にも泣き出しそうな気持ちで家に帰った。
その夜、誰にも言ってなかったこの気持ちを、親友の桜にだけ話したんだ。
夜中の長電話のおかげで、元気になれた。
マナ先輩を知らない人に、マナ先輩のことを説明するのは、とても幸せだった。
“すっごいかっこいいの”
“目が優しいの”
“いたずらっこみたいな顔するんだよ”とかね。
桜は桜で、高校の担任の先生がかっこいいんだよって嬉しそうに話してくれた。
離れた場所で親友も頑張ってるんだと思うと、とても勇気が出た。
次にマナ先輩に会えたら、話しかけてみようかな。