ただただ君が好きでした
チャンスはすぐにやってきた。
試験勉強しようと桃香からLINEが来たので早めに登校していた。
いつもより人の少ない校門前。
ゆっくりと歩く背中を見つけた。
シャツを腕まくりして、ダボっとした制服のズボン。
マナ先輩だぁ。
こんな時間に登校しているなんて、知らなかった。
朝も、会えるんだぁ。
声をかけたくて、急ぎ足で近付く。
マナ先輩の周りだけ、時がゆっくりと流れているように見えた。
空を見上げたり、首をかしげたりしながら、のんびりと歩く。
何を考えてるんだろう。
昨日のあの彼女のこと?
「あ、あのっ!」
朝から誰とも話してなかったから、かすれた変な声が出た。
「ん?」
振り向いたマナ先輩は、わかりやすく驚いた顔をした。
目をパチクリさせてる顔がかわいい。