ただただ君が好きでした
「しかし、迫田のひいきは、最悪だな。1回ちょっとテニス部覗きに行ったけど、ハナハナってうるさかった」
「え?来てくれたんですか?」
「連れが、テニス部かわいい子いるから見に行きたいっていうから、俺もついていっただけだけど」
マナ先輩も、普通の男の人だもんね。
かわいい子には興味もあるだろうし、そりゃ……
「なんだよ。別に俺はどうでも良かったんだよ」
「わかってます!!」
って、何、今のやりとり。
なんだか、ちょっと彼氏彼女っぽくなかった??
「マナ先輩、いつもこの時間ですか?」
「い~や。いつも遅刻かな。はは。今日は、早く目が覚めた。朝飯もなかったし、コンビニでパン買って、食べながら来た」
「朝食なかったってどういう……」
「再婚すんのかな。いいよって言ったら旅行に行った。おふくろにも人生があって、それは理解してんだけど」
寂しいはずなのに、笑ったマナ先輩の顔がまぶしかった。
「じゃあ、今度一緒に朝ごはんでも食べません?体育館の裏で」
自然に口から出た言葉だった。積極的過ぎたかなと後悔しそうになったけど、笑顔で答えてくれた。
「お!それナイス!」
「朝からマナ先輩に会えると1日頑張れます」
スラスラと恥ずかしいことが言えてしまう。
マナ先輩の笑顔があまりにも寂しそうだったから。
知って欲しい。
あなたの存在がどれほど人を幸せにしているのかってこと。