ただただ君が好きでした

「お母さん、好きな人がいるのかな。私のお父さんと同じ」

「やっぱり、俺とオハナは運命共同体だな」

「へへへ」

「お前の笑顔って、本当に幸せそうだな。そんな苦労してるように見えない。それが、嫌がらせされる理由かもな。悩みなんかなさそうに見えるもん」

鞄を私の肩にポンと当てて、私は大げさによろけてみせた。

「悩みだらけなのに~」

「だよな。俺にはもうわかるけど、他の人には幸せそうに見える。だから、妬まれてんだよ」

マナ先輩はもう一度私に鞄をぶつけて、空を見上げた。

「でもな、その笑顔は失くして欲しくないしな。オハナなら自分でなんとかできるよ」

「そうかな」

「とりあえず、俺がいるからがんばれ。どうしようもなくなったら、俺が助けてやるから」

映画の中に出てくる人みたい。

セリフも、笑顔も、声も全部。


こんなにも心強い言葉ってない。
何もこわくないって思えるね。


「キザすぎですよ~」

男性になれていない私には受け止められないくらいのセリフだったので、つい冗談で返してしまう。

本音を言えば、今すぐ泣いてマナ先輩に抱きつきたいくらい、嬉しいです。


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