ただただ君が好きでした

走って部室へ行き、大事な電話番号の紙を手帳の中に入れた。

そして、さっき聞いたバスケットの試合のことを、桃香に知らせた。

【ダッシュで体育館戻る!ありがとう!】とすぐに返事が来た。


みんな恋をしていて、叶う恋もあれば叶わない恋もある。

でも、どの想いも大切でキラキラしていて、かけがえのないものなんだって思う。


「ハナ、もう練習始まるぞ」

部室のドアが半分開いたままだった。

振り向かなくてもその声の主はわかる。

天敵、サコタ。

密室とか、最低。


「はい、すいません」

と言い、立ち上がると何かにぶつかった。


「ハナ、お前神野と付き合ってんのか?」

どうして、サコタがそんなこと。

私の肩に触れた手。

こんな薄暗い部屋でサコタとふたりきりとかありえない。

「何言ってるんですか?」


何か知ってるんだろうか。

どこかで見られた??

不安でいっぱいになる。

サコタとマナ先輩はいい関係じゃないって知ってる。

マナ先輩に、何か嫌がらせでもされたらどうしよう。

頭の中がぐちゃぐちゃになる。



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