ただただ君が好きでした
「ちょっと、ハナちゃん!さっきはありがと~」
靴箱の前のベンチに腰掛けていた桃香が、立ち上がって飛び跳ねるように走ってきた。
「桃香~!見れた?」
「うんうん!すっごいいい場所で見れたんだよ。しかも、ダンクシュートの後に、山城先輩と目が合っちゃって!!もう、やばいやばい!!」
興奮しながら話す桃香の瞳がキラキラしていて、恋ってすごいな、と思った。
「でね、今日のお礼にこれ、あげる」
ニヤっと笑った桃香が、私にスマホの画面を見せた。
「・・・・・・え?」
「ハナちゃんのこと、何も知らないと思ってる?」
桃香が見せた写真にはは、マナ先輩のバスケ姿がうつっていた。
「いらないんだったらいいんだよ。すぐ消すから」
と桃香はニヤリと笑って、私を試すように肩を押した。
その写真は、シュートを決めた山城先輩にかけよるマナ先輩らしく、ほんと眩しいくらいの笑顔をしていた。
「桃香、知ってたの?」
「そりゃね。ハナちゃんのこと見てればわかるよ。でも、誰にも言ってないから安心して」
私の背中をバシっと叩いた桃香は笑顔で続けた。