ただただ君が好きでした
「嬉しかったんだ。ハナちゃんも恋をしてるのかなって。私、山城先輩を好きになって、毎日本当に楽しくてさ。だから、ハナちゃんもそうだったら嬉しいな」
「うん。実は、好きなの」
「話してくれてありがと!じゃ、この写真送っとくね!あ、これも見て!山城先輩の真剣な顔!かっこいいでしょ」
「うんうん!!」
私と桃香は、また一歩近づけた。
私が歩み寄ろうとすればもっと早くに近づけたのかもしれない。
私が、踏み込もうとしなかったんだ。
「それとね、ずっと話そうと思ってたことがあって。前に、また話すねって言ったきり話せてなかったことがあって」
桃香がテニス部に入りたいと言ったときのことだった。
部活でのことを桃香には正直に話そうと思ったのに、やっぱり言えなくて。
「テニス部のこと?」
「うん。なんか、私ごめん。桃香は私のことすごく大事に思ってくれてるのに。私、なかなか心開けなくて」
桃香は、いいのいいのと言って、私の手をぎゅっと握った。
そして、数歩だけど手を繋ぎながら歩いた。