ただただ君が好きでした
「私、そういうの一番嫌い。ハナちゃん、何も悪くない!もっと堂々としてなよ」
真剣になってくれる友達がいる、それだけで私は幸せだ。
「ハナは堂々としてると思うよ。休まずに部活に来て、ひとりでちゃんと乗り越えようとしてる。だから、私は何も助けてないし、ただ見てるだけ。いじめてるあいつらと同じなんだ」
日野さんはそんなことを言って、夕焼け空を見上げた。
「そんなことない!!日野さんがいてくれるから私、続けてるんだよ」
ふふふと笑った日野さんの背中に抱きついた。
「気持ちわっる!!!」
と叩かれたけど、なんだかこういうのが楽しくて、嬉しくて、テニス部を頑張ろうって思った。
サコタとのこと、一瞬忘れてた。
もう忘れちゃおうかな。
あんなヤツ、どうでもいいや。
「絶対、乗り越えなきゃね!迫田なんて、全然かっこよくないじゃん!!しかもハナちゃん好きじゃないのに、いい迷惑だよね」
桃香はそう言って、こっそり目配せをした。
そっか、もう知ってるんだよね。
桃香は、私の好きな人が誰なのか。
もう少ししたら、日野さんにも話したいな。
日野さんは恋とか興味あるのかな。
実は彼氏がいたりするのかな。
ぶっきらぼうだけど、美人だし、優しいし、彼氏の前では甘えん坊だったりして。
なんて考えながら日野さんを見ていると、ジロっとにらまれた。