ただただ君が好きでした
星の下のベンチ
―星の下のベンチ―
こんなに楽しい帰り道は高校に入って初めてだった。
やっぱり、友達って大事。
ひとりじゃ、笑えない。
マナ先輩から教えてもらったケータイ番号を見つめる。
メールやLINEだったらもう少し落ち着いて連絡できると思うんだけど……
いきなり電話、緊張がハンパない。
もしお風呂に入っていたら、もし勉強中だったら、と考えているうちにもう9時になった。
お父さんは、残業でご飯もいらないらしいから私は簡単にお茶漬けを食べた。
勇気を出して、電話をかけた。
『もしもし』
あれ、こんな声だったっけ?
「もしもし」
『あ、オハナ?』
電話で聞く声は、いつものマナ先輩の声よりも高く感じた。
でも、耳元で聞こえる大好きな人の声が愛しくて、スマホを耳に押し付けた。
「今、大丈夫ですか」
『ああ、ちょっと外、出るから待って』
ガチャガチャと音がして、マナ先輩の家のドアが閉まったのがわかった。