ただただ君が好きでした
『お待たせ。なんかあったか?』
「いえ、ごめんなさい。別にそんな用事ってわけじゃなくて。ちょっと話したくて」
顔を見て話すより、言いたいことが言えそうな気がした。
さっき食べたチョコにお酒が少し入っていたせいかな。
『いいよ。俺も邪魔者だったから』
「お母さんの相手の人、来てるの?」
マナ先輩はため息と一緒に、そうそう、と言った。
「家にも来るんだね」
『うん、まだ二回目だけど。俺に気を使ってんのがわかるから疲れる。オハナんち、遠いんだっけ?』
「東町ですけど、駅違いますね」
『チャリで行こうかな。でも、遅いからお父さんに怒られる?』
会える……?
嘘?!
「お父さん、残業で遅いから大丈夫です!でも、マナ先輩こそ大丈夫?」
『俺は、男だから。夜出ても平気。10分くらいだし。家の近くに目印ある?』
私は家の裏にあるフィットネスクラブの名前を言った。
そこの前のベンチで待ち合わせをした。
「危ないから、家で待ってろ。俺がついたら電話するから」
そんな優しさも嬉しかった。
電話番号を交換することで、こんな進展があるなんて。
夢じゃないよね。
学校以外でマナ先輩に会える。
彼女さん、怒らないのかな。
誤解されたりしないのかな。
それか、あの人彼女じゃないのかな。
ただの友達かもしれないよね。
マナ先輩、会いたいです。
早く会いたい。