ただただ君が好きでした
しばらくして、マナ先輩から連絡があり、私は前髪だけドライヤーでセットし直し、家を出た。
前髪は、大事。
マナ先輩に切ってもらってからずっと。
ベンチの前に立つマナ先輩が見えた。
ポケットに手を入れ、ベンチの横の石を蹴飛ばすような仕草をした。
薄いオレンジ色の街灯に照らされたマナ先輩は、キラキラと輝いてみえた。
ずっと見ていたいと思った。
大好きな人のいろんな姿。
私服姿のマナ先輩。
10メートルくらいの距離から見るマナ先輩は、グレーのスウェットのパンツに、白と黒のチェックのシャツを着ていた。
「お~!来たか」
私に気付いたマナ先輩は、片手を上げた。
「遠くなかったですか」
「飛ばして10分だな」
かっこいいな、マナ先輩。
木製のベンチに腰掛けると、ギギギと音がした。