ただただ君が好きでした
「オハナ、日にちと場所ちゃんと書いとけ。アイツ、そのうちとんでもないことするかもしれない。絶対、ふたりきりになるな。何かあったらすぐ俺に連絡しろよ」
彼氏のような口調だった。
マナ先輩、期待しちゃいますよ。
彼女みたいに思ってくれてるのかなって変な期待しちゃうよ。
「絶対誰にも言わないから安心しろ。でも、俺の怒りがおさまらないな。オハナ、大丈夫?」
伸びた手が、私の肩を優しく撫でてくれた。
「迫田なんてすぐに学校辞めさせられるのにな。でも、そんなことしたらオハナが何されるかわかんないし……」
「どうして、私なんでしょう。私、わかんなくて。もし私を気に入ってるなら、わざわざ私がいじめられるようなことしないと思うんです」
「そうだな。どうして、いじめられてること知ってるのに守ろうとはしないんだろう。迫田は、俺とオハナのことを疑ってるんだよな。しばらくは、学校では会わない方がいいかもしれない。噂とか流されたら、オハナはもっと辛くなる」
そうだ、相手は学校一の人気者なんだ。
学校中から、嫌な目で見られるかもしれない。
と、それをちゃんとマナ先輩は理解している。
「ごめんな」
静かにそう言ったマナ先輩の気持ちが全部伝わった気がする。
いつか、聞いたことがある。
神野先輩と仲良くしていた女子がいじめられたって話。
漫画でも映画でもそんなのは定番だから。
「寂しいけど、仕方ないです。マナ先輩のせいじゃない」
「またこうやって遊びに来るから。学校よりゆっくり話せるし」
「本当ですか!嬉しいです!!」
「さすがにここは大丈夫だろ」
「はい!」
好きだと顔に書いてあると思う。私。
隠すことなんてできない。