ただただ君が好きでした
「先生、何かあれば教えてもらってもいいですか。今の私にとって、神野先輩は生きる支えなんです」
「そうか。お前の家庭もいろいろあるって言ってたもんな。神野は、俺もそんなヤツだとは思ってないから力にはなりたいが……」
「お願いします!!」
私と桃香はそう言って、職員室を飛び出した。
走って走って、校舎の裏につき、そこで泣いた。
桃香の胸はとても温かくて、お母さんを思い出した。
「ハナちゃん、私も山城先輩のこと好きだから気持ちわかる。絶対に神野先輩のこと守ろう!」
私は、迫田から抱きしめられたことを桃香に話した。
怒りで震えるくらい桃香は怒っていた。
「信じられない。それ、担任に言おうよ。教育委員会とかに言えば、即クビにできる」
「でも、何かされそうだし…… 証拠もない。迫田が認めるわけないし」
「迫田、許さない。これ、日野っちにも話さない?私、絶対ハナちゃんのこと守りたい」
桃香の目は本気の目だった。
その日の放課後、入部届を迫田に提出しに行った。
桃香がテニス部の一員になった。
信じられないくらい安心したし、心強かった。
5時間目の休み時間に日野さんを呼んで、迫田のことを話した。
日野さんも、どうにかしてハナを守ると言ってくれた。