やっぱり俺のお気に入り
俺達はそのまま駅前のファーストフードショップに寄った。



「龍斗にいっぱいイヤな思いさせちゃったから、あたしがおごるからっ」



「イヤな思いをしてたのは未来のほうじゃん。いい。俺が出すから」



結局、ハンバーガーのセットの代金を俺が出した。



そんなたいした物じゃないのに遠慮がちな未来。



「あたしが出すのに・・・でもありがとっ」



注文を終えると、少し混み合う店内で空いてる席を見つけ二人で座った。



椅子に座った瞬間、未来が大きな伸びをした。



「あ~~。テスト終わってよかったぁ。あたし、龍斗にメールするのも、話しかけるのも我慢してたんだ。でももう限界だったもん。あたしだって勉強なんか好きじゃないもん・・・」



「ははっ、俺はてっきり勉強大好きって感じかと思ってたし・・・まっ、理由が分かって納得はしたけど?」



「龍斗スネてる??もしかしてあたしが勉強に集中している間、ずっと寂しかったんだぁ~??」



銀色のフレームのメガネから未来の目が俺を覗き込んだ。



「スネてるとかウザっ・・・」



そうだよ。



未来の言葉は当たってる。



ずっとずっと俺はいつでも未来がいないと寂しいんだ。



しばらくの間なかったこんな時間が何よりも俺が望んでいたものだった。

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