やっぱり俺のお気に入り
暗くなった帰り道。



なんだか帰るのがイヤで俺も未来もさよならを言えないでいた。



いつもならここで『じゃあなっ!』って言うんだよな。



薄暗い路地で二人で立ち止まってしまった。



「・・・・・」



「・・・・・」




どちらも先に言い出すのを待っているかのように黙ったままでいた。



そんな俺達を街灯だけが包み込み、二人を照らしていた。



その頼りない小さな明かりが未来の顔を薄っすらと俺に見せてくれる。



キス・・・・・したいな・・・・・。



突然そんな感情が沸き起こる。



「・・・・・キス・・」



「・・・えっ/////」



俺の小さなつぶやきに反応した未来を見た瞬間、



チュっ・・・・・。



軽く触れるだけのキスをした。



未来の唇の感触が俺の中によみがえる。



たった何日か触れなかっただけなのにこんなに愛しいよ。



未来にこの気持ち伝わる?









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