やっぱり俺のお気に入り
「先生・・・言ってる意味が分かんねぇからもう1回説明してくんねぇ??」



俺の低い声に青山は動揺することもなくニヤリと笑う。



この笑みを見るのは何度目か?



見るたびに腹が立つ。



「説明ってさぁ~。雨宮、お前ホントにバカだよなぁ~。未来は俺のもんになるんだよ。未来の母親だってそう願ってる。俺と未来の事情はもう未来から聞いてんだろっ?」



冷たく言い放つような口調が耳から離れない。



見下したような青山の言い方。



こいつは絶対俺が逆上すんのを待っている。



「未来は俺の彼女だぜ??先生の方がおかしいだろ??」



俺は出来る限りの冷静さを保ちながら、そのひと言を言うのがやっとだった。



「俺さ、ホントは未来の卒業まで待ってようと思ったけどさ、未来がお前みたいな男に目をつけられたのは予定外だったからなぁ。少し予定を早めるよ。未来みたいな地味な女より、いい女いっぱいいるだろうが・・・なぁ??お前も早く次の女、狙ってくんない??もう未来はいいっしょ??どうせ、お前にとって女なんてあきたらポィっなんだろ??」



青山はそう言うと俺のそばにいた未来の腕を掴んだ。



「さぁ、未来。帰ろう。雨宮、未来を送ってくれたことは礼を言うよ。ありがとな・・・」



「先生っ・・・イヤっ、離してっ・・・」
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