やっぱり俺のお気に入り
店内には店員の他に何人かの客。



俺と未来はそんなの気にする事なく抱きしめ合った。



「ここ何ヶ月かであたしの生活とか周りがすごく変わって・・・そんな中で全然余裕がなくてね・・・。龍斗の声聞いたら、あたしは絶対に龍斗に甘えちゃうって思って・・・自分で決めた事だから自分で乗り越えなきゃって・・・・・」



俺の腕の中で未来がそっと小さくつぶやいた。



「それで俺に連絡しなかったのかよ?」



潤んだ涙目でこっちを見ながら頷く未来。



「だって・・・龍斗の声聞いたら、絶対に龍斗に頼りたくなるし・・・甘えちゃうもん。それじゃあダメだって自分に言い聞かせて・・・」



「いいんだって。頼ればいいじゃん。俺にはそういうとこ見せろよ。なっ??」



「うん・・・龍斗に会えない、会わない時間がすごく・・・イヤだった」



「俺も、お前がいないとダメ・・・」



「あたしも・・・」



「よし!!これで少しだけ充電出来たって感じ!!」



俺はそう言って未来を席へ座らせた。



「龍斗・・・龍斗が辞めてほしいなら、あたしこの仕事辞めてもいいとも思ってたんだ」



「はっ??そんなの言うわけねぇだろっ??」



「・・・だよね?龍斗ならそう言うと思ってた。だからこうして今がある気がする」



未来はそう言った後、ニッコリと笑って、



「あたし、ようやくこの仕事を頑張ってみようと思えるようになったんだ」



とはっきりした口調で未来が言った。





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