やっぱり俺のお気に入り
俺はすっかり暗くなった空を見上げた。



俺の小さなため息はこの女に聞こえたのだろうか。



考えてみたら、女とこんな状況で二人っきりでいて、手を出さずに話し込むのも初めてだ。



なんでなのか知らねぇけど・・・この女の・・・平岡未来の話を聞くのは苦ではなかった。



女の話にちゃんと向き合うのは慣れていない。



それから少しだけ学校のこととか、部活の話をした。



「もうこんな時間・・・!あたしっ・・・帰ります・・・」



「近くまで送るよ」



俺がそう言うと、平岡未来は立ち上がり、



「いえ。ここであたしは失礼します。色々生意気なこと言って・・・スイマセンでした」



とペコッと頭を下げた。



「帰るならさ・・・メアド・・・教えてよ、未来ちゃん」



そう言った瞬間、俺は平岡未来の手首を掴み、引き寄せていた。





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