やっぱり俺のお気に入り
明らかに動揺しているのが分かる。



俺は黙って、美由紀の反応を見ていた。



「知らない・・・あたし、何も言ってないし・・・マジ意味分かんないっ・・・平岡未来がそう言ったの??それならあの子は最低だよね?だって龍斗の気を引こうとしてそんなデタラメ言ってさ・・・龍斗もなんでそんなの信じるの??」



美由紀の気持ちが俺にあることは知っていた。



ずっと前から分かってたこと。



「違う。平岡未来は何も言ってない。ただ俺がそう思っただけ。でも俺の勘違いじゃないだろう?」



美由紀の気持ちには応えられない。



俺は美由紀に何の感情も湧かない・・・今もこれからも・・・それは変わらない。



「なんでっ・・・・・あたしはこんなに龍斗が好きなのに・・・・・なんで・・・あたしを・・・見てくれないの?あんなブス・・・・どうでもいいじゃん。あたしの方が可愛いじゃん。あたしはいつだって龍斗が好き。好きで好きで・・・なのに・・・なんで、なんであんな・・・あんな子選ぶの??」



いつも適当に美由紀の喜びそうな言葉を並べて、美由紀のことを何も考えてなかった俺。



結果的に美由紀を傷つけたなら・・・・・



悪いのは・・・・・俺だよな・・・・・。



「ごめんな、美由紀。俺、美由紀を好きっていう気持ちでは見れねぇんだ」



「・・・そんなの分かってる・・・よ。龍斗の・・・バ~カ・・・知ってるよ・・・そんなの・・・・・分かってる。分かってからツライんじゃん・・・・・」



「泣くなよ・・・・・」



「泣いてない・・・泣きたくないもん」



人に気持ちはごまかせない・・・・・。



曖昧な態度は時に人を傷つけるんだってこと・・・俺はもっと知っておくべきだったな。








< 71 / 296 >

この作品をシェア

pagetop