ランプをさすって、ワタシを呼んで
アノトキ
 私が彼に出会ったとき、私は子供の作り方さえ知らなかった。彼は隣に住んでいると言っていたけれど、今となっては真偽さえも分からない。当時の私が彼に恋をしていたかというと、それもまた曖昧だ。恋というのは当時の私に限らず、その付近の年齢には少しほろ苦くてすっぱい。なんというかすっぱいグミみたいな、そうじゃないような。
隣のクラスの彼が好きとか、先輩がかっこいいとか。そんな曖昧なことがたくさん集まって恋と呼ぶのかと思う。それでいいじゃないかとも思う。
 私は22歳。彼は30歳。出会ったのは6年も前だ。6年も前なんだ。


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