ふたりはすこし、狂ってる【短編】
3,Aと彼女
彼女は、過去に親友を亡くした。

幼い頃から、どこに行くにも一緒だった。

その親友に、ある日彼氏ができた。

だけど、親友は彼女にそのことを話さなかった。

それが、運の尽き。

親友は、彼氏に殺されてしまったのだ。

『私は親友を救えなかった』

『親友ひとり守れない私に、存在意義なんてない』

そんな彼女を救ったのが、今の彼ーー皮肉にも親友の元彼ーーだったのだ。

「ねぇ」

「なぁに?」

「あなたは、彼が狂ってると思わないの?」

「思わないはずが、ないでしょう?」

「それならどうして彼と一緒にいるの?」

「あなたは相変わらず、心配性なのね」

「あなたはわたしの大切な人だから」

「…ありがとう、私もよ。だけど、ごめんなさい。私は、まだ死にたいと思っているの。でも彼のことも大好き。幸いなことに彼は“死こそ最大の愛”だと思って疑わない。…こんなに利害が一致した関係は、ないでしょう?」

「つまりは、あなたは彼に殺されたいと思っているのね。彼と同じ、狂ってる」

とても、おかしい
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