煩い顔。煩いオマエ。煩い心臓。
まるで生き物のように中でうごめく指は、時間が経つほどに数も増え、奥へ奥へと侵入してくる。すると、奥の方で少し違った感触に甘い声が漏れる。

「ひぅっ……あ……な、に……っ!」

「ん……ここ、か。」

『なんだよっ……これ……!』

理解したように呟くと、今度はしつこくその部分だけをいじる。

「ひぐっ!や、ぁ……あっ……やめっ……そこ、やらっ……!」

「おいおい……嫌じゃなくて、いいの間違いだろ?こんなに、嬉しそうに液漏らして……聞こえるか?お前の中、すっげーぐちゃぐちゃ。」

「くっ……ぁ……いや、だ、ぁ……いっ……言うなっ……あぁっ……っ!」

「ククっ……素直に気持ちイイって言えばいいのに……ほら、もう3本目だぞ?」

「うっ……嘘……っ……んぁっ…そこ……やめっ……!もっ……いい、から……あっ!」

しつこく愛撫されると、更に強い刺激が欲しくなる。湿った吐息をもらしながら、俺は黒永に欲をぶつけた。

「っはぁ……も、……ゆび……いっ…から……はぁ……っ……欲し、い……。」

「は……?」

「欲しいっ……黒永……お前、が……欲しい……っ……ここにっ……。」

「!!……マジか……。」

「ねぇっ……お願い……はや、く……ねぇ……っ……。」

「っ……このドMが……。」

言葉とは裏腹に、黒永は嬉しそうだった。妖艶な笑みを浮かべ、まじまじと俺の顔を見る。互いに抑えきれない快楽の波を、逆らうこともせず、ただ流れに身を任せている。黒永は指を抜くと、乱暴に脚を掴み上げ、自分のモノをヒクつくその場所へ当てる。

「どうして欲しい……言え。」

「んぅっ……いっ……入れて……中にっ……。」

「っ……ヒヒっ……入れて……ください、だろ?」

黒永の青く澄んだ目が欲でギラつき、よりいやらしく光る。尖った犬歯を覗かせる口からは、サディスティックな言葉が紡がれる。どんどんと性癖をあらわにしていく黒永は、いつもよりも数段と男らしいと思ってしまった。そんな彼を欲する自分は、羞恥も、痛みも超えたその先へ向おうとしている。

「い、れて……くださいっ……お願い、します……。」

「っ……よく、出来ました。初めてだから……一気には入れないから……途中で、へばるなよ……っ。」

「うぅっ……!ぐ、ぁ……っ……いっ……!」

固くて熱いものが中を押し広げ、限界まで引き伸ばす。息が詰まるほどの大きさのモノはドクドクと脈打ち、俺の中を刺激する。涙がシーツにこぼれ落ちてシミになる。

「っはぁ……くっ……痛いか……?」

「っ……っあ……平気……だい、じょぶ……っ……はっ……はぁっ……!」

不思議と、痛みはそこまで感じることは無かった。ゆっくりと中に入ってくるモノが根元まで到達すると、黒永は顔を上げた。

「っ…はっ……はっ……キツ……すっげ……中、すっげー動いてる……。」

「んっ……く……しゃべん、な…ぁ……っ!」

言葉を交わすと、その振動で腰が跳ね上がる。細かい振動は、まるでローターのような甘い刺激を中に送る。

「ククっ……すっげー……気持ちいいっ……お前の、その顔も……最高……!」

「っ……う、るせっ……!」

『中が……雨でいっぱいだ……。』

身も心も黒永でいっぱいだった。ついに、本当にことに及んでしまったことを、最初はためらいもあったが、後悔はしていない。なぜなら、黒永の意外な1面も見られたし、俺だけしか知らない表情も見られたからだ。

「動くぞ……!」

「うぁっ!……あっ……はぁっ、ぁ……あぁっ!」

「うわっ……中……すげ……っ。」

黒永と中が擦れる度、感じたことの無い感覚に、シーツをたぐり寄せる。黒永が突くたびに息が詰まる。奥に当たると、コンコンと音をたてる。初めはゆるゆると腰を動かしていた黒永も、時間が経つにつれてピストン運動を早めていった。

「────んぅっ……奥、やぁ…っ……激しっ……あっ……!」

「はっ……はぁっ……っ……ん……くっ……!」

もうどれくらいの時間が経っただろうか。言葉を紡がなくなった黒永は、ただひたすらに腰を動かし、欲を貪っている。もう何度も達した中には、白濁で溢れていた。何度も体勢を変え、様々な場所を触られた体は、もう限界が近付いていた。それでも、まだ足りないと思ってしまう。

「はっ……うっ……く、あ……はぁっ……コウっ……っ……コウ……!」

『余裕……なさそうな顔しやがって……余裕ねぇのは、俺も同じか……。』

目の前で乱れる黒永の顔を、間近で見るのは気分がよかった。黒永の首に腕を回し、脚で腰をがっちりと捉えた。広いツインベッドを余すことなく使い、汗だくの浴衣を床に落とす。お互い全裸の体格の良い2人が、学生には似合わない部屋で乱れる。

「っはぁ……雨っ……あぁっ……っ……ん、ぁ……雨……っ!」

水気のある音を部屋に響かせる。黒永に腰を突き上げられて、意識が朦朧とし始めている。目には涙が浮かびほとんど見えない状態で、チカチカと星が舞い、何度も迎えた絶頂で体はドロドロだった。

「はぁっ……あっ……コウ……出すぞっ……っ────!」

「んっ……!っ……はぁっ……熱、い……っ……ン♡」

黒永は中から自身を抜くと、ベッドに座り込んだ。俺は尻もちを付いたような体勢の黒永を見て、液体にまみれた自分の体をゆっくりと持ち上げた。腰に力が入らずフラフラとしてしまうが、重くなった自身の体をなんとか黒永の近くまで持って行く。身を重ねる中でプライドと理性が崩れ、自分が変わっていくのが分かった。

「ん……コウ……?」

「はぁっ……次は……俺が、する……お前は、楽にしてろ……。」

「っ!?」

黒永の肩を思いっ切り押し倒した。ボフッと背中をベッドに打ち付けると、黒永は目を見開いた。

「何す……!」

「はぁ……っ♡……こういうの、ちょっと……やってみたかったんだわ……ちょっと付き合えよ……。」

黒永の上にまたがり、立ち上がったモノの上で構えた。自分の穴を手で押し広げると、先程の液体が流れ出る。ドロッとしたものが黒永にかかると、その隆起した部分はまた少し大きくなる。

「っ……コ、ウ……。」

「なぁ……っ……入れて、いい?」

「っ……お前……マジかよっ……っあ!」

俺は黒永のを掴むと、入口に当てがり、先っぽを吸いつかせるように少し含んだ。

「っはは……大マジだっての……お前のせいでっ……こんな体になっちまったんだからな……責任、取ってもらうぞ……。」

「っ……焦らすな……!」

「んっ……じゃ、いただくとするか……っ。」

「うアッ……!」

俺は一気に根元まで咥え込む。ビリビリと甘い電流が、腰から脳までを駆け巡る。

「んァっ……♡……っ…たまんねぇ……てめぇも、いい顔すんじゃねぇか……。」

「くっ……ぅ……!」

「はぁっ……俺の、イイトコ……教えてやるよ……腰、触って……んっ。」

黒永の手を取り、自分の腰に乗せる。自ら腰を上下に動かすと腸の奥まで到達し、とろけるような刺激を繰り出すのだった。

「んぅっ……っ♡……腰、止まんなっ……あぁっ!」

「……はっ……どんどんMになってくなっ……コウ。」

「っはは……こんだけ、やられると……もう恥ずくねぇんだ……どんどん欲しくなるだけ、だ……っなぁ……。」

俺は上体を倒し黒永の口を塞いだ。絡み合う舌が、唾液によってくちゅくちゅと音をたてた。

「ン……むぐ……っはぁ♡……もっと、くれよ……雨……。」

「っ……このっ……どマゾが……!」

黒永は手に力をかけ、更に奥まで突き通す。1番の電流が体を突き抜ける。

「ふぁあっ!……んぁっ♡……あっ……ヤバ、いいっ♡……これっ……!」

「んぐっ……っ……締めすぎだっ……!」

『奥っ……ヤバ……♡』

「んぅっ♡……もっと……もっと、して……いいっ……もっと、激しく……して……っ。」

また中で黒永自身は大きさを取り戻した。黒永は口角を再び上げると、俺の腰を持ち上げ、強く深く上下に動かした。激しい動きに黒永の腹筋に手を付き、身を任せた。

「うぁっ……激しっ……いっ……あっ♡……はぁっ……いいっ……っ……気持ち、イイっ♡」

「ふっ……く……ヤ、ベ……も、イくっ……!」

「う、んっ♡……イって……いいよっ……中に……欲しい……中、出して……っ……♡」

「っく……う…ぁ……あぁっ────!」

「んあぁっ……♡……はぁっ……ん、あぁ……は、ぁ……♡」

ビクビクと体を痙攣させ、出された欲を受け止めた。だが不思議なことに、俺が達することは無かった。相変わらず自分の息子は元気なままだったが、その代わりに今までで1番強い刺激が体全体を襲った。あまりの快楽に腰が抜け、ぐったりと黒永の胸へと倒れ込んだ。ほとぼりの冷めない身体は、疲れという形で悲鳴をあげる。もう動けない。

「っはぁ……はぁっ……コウっ……大丈夫か……?」

「はーっ……はーっ……♡……何、これっ……ま、だ……イってない、のにっ……っ♡」

「……珍しいな……空イきとはな……。」

「から、いき……?」

より荒くなった呼吸を整えながら、働かない頭で、うまく回らない口で聞く。すると、黒永は自身を入れたまま俺を下にした。液体で汚れたベッドに押し倒される。

「……女みたいに、出さないでイくってことだ。ほんと……淫乱だな、コウは。」

「っ……女……みたいに……。」

「つーか……まだ元気なようだな、お前の息子は。どんだけヤれば気が済むんだよ。」

「ん……うるせっ……!」

少し落ち着きを取り戻したところで、やっとまともに返事をすることが出来た。今までしてきたことを振り返り、羞恥と疲労が一気に戻ってきた。

「体力的にも、そろそろお開きにしとこうか。」

「ンっ……。」

黒永は自身を抜くと、倒れるように俺の隣に寝た。

「っはぁ……疲れた……こりゃ、よく寝れる。」

『まだ足りないなんて……俺の体はどうかしてる。』

「……雨……俺……まだ、治まんねぇよ……。」

「ん?なんだ、もう1回シたいってか?いいぜ、別に。明日ヤりすぎで腰立たなくなってもいいなら、もう1回シてやろうか?」

「違う……ヌいて……雨……お前に、シて欲しい。」

「っ……。」

一瞬身を強ばらせると、黒永は先程とは真逆の優しい対応をしてきた。

「そ…か……分かった。じゃ……。」

「っ……はぁ……!」

黒永の手がそっと触れただけで声が漏れてしまう。もう既にドロドロになっているその部分は、ぐちゅぐちゅと音をたて、大きく反り返る。

「っは……あぁっ……ン……あっ……雨っ……!」

「っ……気持ちいいか?」

「っ……!」

寝そべった状態でコクリと頷くと、黒永は嬉しそうな顔をした。八の字に目が垂れたその表情に、胸の奥がキュッと締まる。これがときめくということなのだろう。

「うっ……あ……もっ……イくっ……あぁっ……!」

「いいぞ……イっても……ん。」

黒永は俺の首元に顔を埋めると、チリっとした痛みのあるキスをする。

「んァっ……あぁ……あっ────!」

何度目かの射精に、俺の意識は遠のく。涙で目が霞み身を震わせると、頬に優しく大きな手が触れる。

「コウ……?……おい……こ……う……?」

「ヤバ……眠、い……。」

『また意識が……。』

体の限界を超えた為に、睡魔が襲いかかる。まぶたがゆっくりと閉じる。

「おい。」

「ん"ぶ!」

「また気失われると困るんだわ。」

今にも深い眠りにつく前に、黒永は両手で俺の顔を挟み、押しつぶすように力を込める。

「やべろ、コハ……!」

「……ふっ、変な顔。」

「ふるひゃいっ……ひゃめほよ……!」

「ごめんごめん……起きたか?」

「っ……おかげでな。」

とは言っても、眠いことに変わりはない。重だるい体は、指を動かすのも面倒になるほどクタクタになっていた。部活の後とは違う、とてつもない疲労感が残る。そして、ついに情交に至ってしまったことを思い返す。
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