◇ヌードで魅せて◇
息苦しさに負けて、だんだん気分が悪くなっていく。
人混みが苦手なのもあるけど、今のこの男女関係なく揉みくちゃ状態で。
それに耐えられそうもなかった。
どうにか人混みを掻き分けて抜け出したい。
美帆には一言声をかけてきたし。
今のあたしは気分的にも、みんなみたいに盛り上がれる感じじゃなかった。
外の空気を吸って少し気分転換をしてこよう。
それで、気持ちもしっかり切り替えてこよう。
体育館の入り口を開けると、外の明るさに一瞬目が眩んで。
だけど、爽やかな風を体に感じて生き返った気分。
「はぁ……」
明日は本番だというのに、いまいち乗り切れない。
「やだな……」
こんなウジウジしてる自分、大嫌いだ。
大丈夫、きっと明日は楽しくなる。
そう自分に言い聞かせて。
パチンと両頬を叩いた。
少しだけその場で休んで、もう一度体育館に入ろうと扉に手をかけたときだった。
そんなあたしの手に重なるように触れた大きな手。
フワッと香ってきた男物の香水。
扉に向かい合うあたしを覆い隠すように大きな影が重なった。