◇ヌードで魅せて◇
「先輩……」
「そんな俺のこと、軽蔑する?」
ブンブンと大きく左右に首を振って。
その言葉を精一杯否定した。
「軽蔑なんて…しない」
震える先輩の手を取って。
ギュッと握り締めることしか出来ないけど。
「…するわけ、ないじゃん」
震えているのは、先輩? それともあたし?
「好きだ」
囁くそうな甘い声。
握り締めていないほうの先輩の手が、ゆっくりとあたしの頬に添えられて。
その手に、自分の手を重ねる。
しばらく見つめ合ったまま。
逸らすことも忘れて、その真っ直ぐな瞳に魅了されていく。
このまま時が止まってしまえばいいのに。
そうしたら、こんな優しい瞳の先輩をずっと独り占めできるのに。
「あたしも…好きです。
嫌いなんてウソ、本当は…ずっと前から好きでした」
一瞬驚いた顔をして。
だけどすぐに、フワリと優しい笑みを作る。
「馬鹿だな、俺ら……」
そうだね。
初めからちゃんと気持ちを伝えていれば、こんなにも遠回りしなくても済んだのに。
だけど、そのおかげで。
もっともっと先輩のことを好きになることが出来た。
自然と近づく二人の距離に。
ゆっくりと瞳をとじると。
柔らかな先輩の唇が、あたしの唇にそっと触れた。