◇ヌードで魅せて◇
ヌードで魅せて
「お帰りなさい、ご主人様」
文化祭当日。
フリフリのメイド服を着て、うふっと可愛く上目遣いにお客様を見上げた。
初めは恥ずかしさもあって、なかなか上手く接客も出来なかったけれど。
慣れてくれば、これもなかなか楽しいかもしれない。
クラス優勝のため、クラス一丸となってメイドになりきっているのだ。
今日何度目の笑顔かもうわからない。
若干、頬のあたりがヒクヒクと引きつっているような気がするけど。
それは気がつかないことにしよう。
交代まであと30分をきった頃。
教室の外が少しザワザワと騒がしくなったような気がして、なんとなく視線をそちらに向けた。
入り口の辺りに人だかりが出来ている。
中にはキャーキャーと声にならない声を出し、少し興奮している女の子の姿も見えて。
何があったのだろうと、そちらへと足を進めていった。
「ヤバイ…あの人カッコいいんですけど」
そんな声が聞こえて。
うちのクラスの前にどこかのイケメンがやってきたのだと納得しながら。
ひと目その人を見ようと、人ごみからヒョコッと顔を出したところで。
「あっ…」
あたしの声に、そのイケメンがフッと笑って近寄ってきた。