◇ヌードで魅せて◇
だけど今日は、暗室のプレートは使用中にはなっていなくて。
中に誰もいないことを示していた。
先輩はまた来ていないんだ。
嫌い、嫌いと言いながら。
ここを通るときはどうしても暗室を、先輩のことを気にしてしまう自分が可笑しかった。
先輩のこと。
好きじゃない。
だからと言って、本当は嫌いなわけでもない。
だた、気になるだけ。
先輩の写真に惹かれているだけ。
『吉良先輩って、人は絶対に撮らないんだって』
そのウワサが、気になるだけ。
そう、自分に言い聞かせる。
先輩がいないことに少しがっかりする自分に気がつかないふりをしながら。
視線を向けることもなく、立ち止まることなく通り過ぎていく。
……はずだった。
「きゃっ!!」
突然開いたドアからスーッと手が伸びてきたかと思ったら。
その手に腕を掴まれて、そのまま室内へと引きずり込まれる。
薄暗くて埃っぽい教室の中。
悲鳴を上げた口は、あたしよりも一回りも二回りも大きな手のひらに押さえつけられて。
抵抗する体は、あたしよりもずっと大きなガッシリとした身体に後ろから拘束される。
恐怖でガタガタと震える身体。
涙が浮かぶ瞳は一瞬でぼやけて視界を奪う。