◇ヌードで魅せて◇
「あっ」
不意に触れてしまったマウス。
真っ暗だったパソコンに光が戻ってくる。
そこに写るのは、いつも先輩が見ているものと同じようにたくさんの写真が入っているフォルダーだった。
やっぱりここで作業してて、少し席をはずしているだけなんだ。
ゆっくりと振り返って、入り口を気にして見たところで。
ここからはまったく見えないけど。
耳を澄ましてみれば、廊下にも人の気配を感じなかった。
見たい。
少しくらいなら…見てもいいかな?
恐る恐るマウスに手をかけて、ゆっくりとスクロールしていく。
たくさんの写真は、やっぱり風景写真ばかりで。
あのウワサは本当なのかもしれない。
先輩は本当に人を撮らないみたい。
きっと何か理由があるのだろう。
それでも、文化祭にはモデルが必要であたしを選んでくれた。
なかなか撮ってくれないのには、やっぱり何か理由があっていろいろ葛藤しているのかもしれない。
そんなことを考えていたら、もう文化祭まで時間はないけれど、期限ギリギリまで付き合ってあげたいって思ってしまった。