◇ヌードで魅せて◇


そんなファイルの中に、無造作に挟まれていた数枚の写真を見つけてゆっくりと引き抜いた。


「えっ……」


思わず零れた言葉と、写真を持ったまま固まってしまった身体。

少し震えてる手と、大きく見開いたままの瞳。

ドクン、と胸が痛んで息が出来なかった。


「……誰?」


髪の長いすごくキレイな女性。

カメラに向って、すごく幸せそうに微笑んでいたのがよくわかる。

砂浜で楽しそうにはしゃぐ、そんな写真も見つけてしまった。


「誰?」


そんな問いかけに、誰も答えるわけがない。

ファイルを少し乱暴に開けば、そこにはたくさんの彼女の写真。


笑った顔、すねた顔、怒った顔。

無邪気な顔、少し色っぽい顔、幸せそうに眠る顔。


そんな幸せそうに眠る彼女の髪に触れる誰かの手から愛しさが溢れていた。


誰か、なんて…そんなの先輩に決まってる。

その手を見ただけで、先輩が幸せそうに見つめる顔が容易に想像できてしまう。


その写真だけ、他のものと違いすぎる。

ただただ愛しくてたまらない、ってそう伝わってくる。

先輩にとって大切な人だって、痛いほど伝わってくる。


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