◇ヌードで魅せて◇
「んっ…んん」
「黙れ、暴れるな」
突如背後から聞こえてきた声に、身体は強張って。
今度が違う緊張があたしに襲い掛かってきた。
「大きな声出すなよ」
声を潜めて、だけどその威圧感は半端なくて。
その言葉に、コクコクと頷くたびに。
溢れてくる涙があたしの口を押さえる手に落ちていった。
拘束が解かれ。
体に自由が戻る。
ガタガタと震えた身体はそう簡単には治まりそうもなかったけれど。
恐怖だけだった心は、疑問のほうが大きくなる。
「……先輩」
ゆっくりと振り返った先には、無表情の吉良先輩がいた。
薄暗くてもわかる。
見上げなければならないほどの身長差。
それだけ近くに先輩がいる。
だけど、今の状況はどういうことなのか理解できずにいた。
面識はない。
だからこそ疑問に思う。
先輩は何も言わずに、ただあたしのことを真っ直ぐに見下ろしていた。
その冷めた瞳のせいで、身体は硬直したまま。
その表情からは、何を思っているのかまったく読み取ることはできない。
静かな教室の中、バクバクと心臓の音だけが響いているような気がして落ち着かなかった。
まだ、手が震えてる。
「あ、あの……」
恐る恐る、先輩に声をかける。
その声はとても小さくて、頼りない。