◇ヌードで魅せて◇
一瞬だけ先輩の眉がピクリと動いたような気がした。
だけど今はまた無表情のまま。
どうしたらいいの?
どうしてあたしを連れ込んだの?
この部屋はきっと、暗室の隣の今は使われていない空き部屋だろう。
物置のように使われていて、かなり埃っぽい。
そのせいなのか、すごく息苦しかった。
積み上げられた机。
大きな本棚みたいなものには、無理やり押し込まれた書物。
それらが乱雑に置かれている。
窓もあるはずなのに、その障害物によって外からの光は遮断されている。
薄暗い室内。
そんなところに、先輩と二人きり。
「あ、あの…用がないなら、部活があるのでいきたいんです、けど……」
先輩の顔色を窺いながら、ゆっくりと言葉を繋げようとしても。
言葉が喉に張り付いて上手く出てこない。
どうしたらいいのかわからなくて、視線を上げることもできなかった。
こんな薄暗い密室で先輩と二人きりとか。
正直、怖かった。
気まずくて、不安で、早くこの場所から逃げたいって思っていた。