◇ヌードで魅せて◇


声が聞こえてくるのはあの隠れ家ではなくて、隣の暗室からだった。

この中に先輩とあの彼女さんが一緒にいる。


先輩が以前から暗室に篭っていることは知っていた。

もしかしたら、そこにあの人も一緒にいたのかもしれない。

ここで二人、会っていたのかもしれない。


前に先輩に聞いたことがあった。


『あれ…? でも、いつも暗室にいますよね?』

『あ…、あぁ…』


あの時の歯切れの悪い返事の仕方を思い出し、そういうことか…と納得する。


きっと先輩は、今みたいにそのときの会話を聞かれたんじゃないかって気まずくなってたんだね。


「好きよ、雅」


甘ったるい声に、先輩はなんて答えるの?


「ねぇ、キスして…」


その甘えた声に、先輩は応えてあげるの?


あの優しい瞳で彼女を見つめて、あの大きな手で彼女を抱き締めて。


「んっ……」


微かに聞こえたような甘い吐息に、下唇を噛みしめた。


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