カノジョとカノジョ
「美咲ちゃん、単刀直入に言うよ。私が美咲ちゃんの本当のママ。」

やっぱり…

「美咲、これは違うんだ。えっと…嘉代は…」

お父さんが慌てて言う。

「ちょっと待って…嘉代先生、それ本当なの?
本当なら、どうしてみさっきーが自分の子供だと気づいたの?」

ママが聞く。

「本当に決まってるでしょ。美咲ちゃんの右の手首にホクロがあるでしょ。
去年の環境委員会の時に気づいたの。」

「確かにみさっきーの右の手首にホクロがあるね。
みさっきーの本当のママは、嘉代先生と認める。
じゃあ、嘉代先生は何をやりに来たの?」

ママがまた聞く。

「さっき言った通り、美咲ちゃんを迎えに来た。だだそれだけ。」

「お前、何を言ってんだ?
お前は、男と暮らすのに美咲が邪魔だったから置いてったんだろ。
今頃何を言ってる?」

パパが言い返す。

「私、もう結婚したんだよ。大手企業の社長と。
美咲ちゃん、うちに来たら何でも好きな物を買ってあげるし、頭がいい高校にも入れてあげる。
私達と一緒に暮らそうよ。」

嘉代先生が言う。

「えっと…」

言葉に詰まる私。

「嘉代。お前がそんなに言うなら、どっちの家で暮らすか美咲に決めさせよう。
来週、一週間嘉代の家で生活させる。
そして、美咲はどっちの家で暮らす方が楽しいか決める。
これなら文句はないだろう。」

「そうしましょうよ。」

「私もそれでいいよ。」

「よし、かよ。お前はもう帰れ。美咲と話したい事があるからな。」

「分かった。じゃあ、美咲ちゃんバイバイ。」

私は俯きながらうなづいた。
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