After -deconstruction "God Ideology"



 火神はその頃,下女のいない赤燈色の落ち着かない部屋でふと,今までの事を思い出していた.

(…そう言えばキャサは今どうしているんだろうか.

 もう春なんだよな.

 あいつ今ごろ…あの森に一人でいるのかな.

 そう言えば春といえば,ルーシーおばさんは回復したんだろうか.

 そう言えば両親はどうしているんだろうか.

 …いや,おれはもう神なんだ!

 おれが気にしなくてはいけないのは,この世界全体なのだ…!)

火神は炎のような高ぶる気持ちを抑えながら,必死に考えていた.

そして考えれば考えるほど気になっていた.

《トントン》

部屋のドアがノックされた.

すぐに下女が不気味な位真面目な顔で入って来た.
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