After -deconstruction "God Ideology"



 その後2人は湖から離れ,村の中でもにぎやかな場所で素早い奴はいるかと聞いたが,色よい返事はほとんどなかった.

曇ってはいたものの,もう日は暮れかかっていた.

「誰だ,コロ村にいるなんていう情報を流したのは!

 だいたいそんな情報じゃわかんねぇって.」

夕食の準備で騒がしい市場の中だったので,白い目を向けられることはなかったが,なだめる水神の苦悩は少しも変わらなかった.

「こんな村に神はいないって,もう帰ろうぜ.」

「いいえ,あなた.

 この村には立派過ぎるほどの神がいらっしゃいます.

 天罰が下る前に許しを請いなさい.」

その聖の神を想起させるような男は2人よりも背の高い,盲目と思われる年寄りだった.

水神はまさか誰も聞いていないと思っていただけにまずくらくらして,コロ村の土着神に許しを乞うことを強制されて,心の中ではもう倒れていた.

「そんなことはもう…」

水神は慌てて火神の口を押さえた.

「は,はい.

 わかりました.

 どこに行けば神様に会えるのですか.」

水神はカハシだった頃からこういう場合には抵抗しないほうが身のためになることを知っていた.
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