After -deconstruction "God Ideology"



 報告が終わったからといって,次になすべきものを提示されたものではなかった.

水神はまさに水色で覆われたいつもの部屋にいた.

用がなければ一人にさせてくれない下女もそこにいた.

「死んじゃうんだって.」

水神は下を向いて虚しそうにそう語りかける.

下女は無視することなくいつもいつもで応える.

「でもまた蘇ります.

 星月様は偉大でおられます.

 水様と同じ神様になられるんですよ.」

「わかっているよ.」

腰掛けていたベッドから立ち上がって水神は即答した.

「わかっているよ.

 でも,僕達が生神の復活を祈るということは生神を一度だけど殺さないといけないっていうことなんだよ.」

「ふふっ,水様は優しいのね.

 でもそれは間違っているのですよ.

 だって水様が殺さなかったから,生様が神様になるのを阻止することと同じなのですから.

 先代の生様も本当に言葉にもできない位のお方で,私のような下賎の者にも声をかけて頂いたのを今でもありありと覚えています.

 他の神様からも悪く言われた事もないのですよ.」

下女もまた即答であった.
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